和歌山県内初 乳がん専門センター
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乳がんの手術とは乳房に対する手術および腋のリンパ節に対する手術の2つを意味します。
腫瘍が大きい場合でも通常、手術の後に行う薬物療法(ホルモン治療や抗がん剤治療)を手術の前に行い腫瘍を小さくしてから温手術を行うという方法(術前化学療法)も積極的に行い可能な限り温存手術を行うようにしています。
乳房全体を切除する手術です。腫瘍が大きい場合や温存手術にて乳房の形の変形が大きいと予想される場合に行われます。筋肉(大胸筋、小胸筋)は温存されますが通常乳頭乳輪および乳腺は全て切除されます。当センターでは乳頭まで腫瘍が直接及んでいない場合はできるだけ乳頭乳輪および皮膚は温存し乳腺のみを切除します。
そうすることで同時に行う乳房再建手術が容易になりきれいな乳房を作ることが可能になります。
乳房切除を行う患者さんの希望に応じて同時に再建手術を行います。
乳房再建には自家組織(自分の体の一部を使う)による再建と人工物(シリコン)を使った再建方法の2通りがあり、おのおの利点、欠点を考慮したうえで患者さん御本人にどちらの方法で行うか選択していただきます。
乳がんは腋のリンパ節に転移を起こします。
以前の手術では、がんの転移があるか、ないか判定する方法がなかったため乳がんになった全ての患者さんはリンパ節郭清(腋のリンパ節を全て取る)が行われていました。
最近では乳がんが一番最初に転移するリンパ節を見つけ出す方法が発見され、まずそのリンパ節を摘出し、がんの転移の有無を調べるセンチネルリンパ節生検が行われます。
センチネルとは見張り番と言う意味でがんが一番最初に転移するリンパ節のことです。
センチネルリンパ節に転移がなければリンパ節郭清を行わずにすみます。
センチネルリンパ節に転移が認められると通常通りリンパ節郭清を行います。
リンパ節を摘出すると腕から腋を通って体に流れ込むリンパの流れが途絶えてしまうため手術された患者さんの約20%程度の方はリンパ浮腫という腕のはれが出現します。
リンパ浮腫は治療の必要のない軽い程度のものから重いものまで様々ですが、根本的な治療法がなく難渋します。
当センターではリンパ浮腫外来を開設しリンパ浮腫療法士(セラピスト)による専門的な治療を受ける事ができます。
リンパ浮腫の治療は医療徒手リンパドレナージと言われる腕のリンパの流れを促すマッサージからバンテージ療法、弾性着衣等を組み合わせて行います。
また自分で出来るセルフケアの方法を学んでいただきます。
当センターで手術を受けたかた以外でもリンパ浮腫外来を受診していただけますので、詳しいことはお問い合わせください。
リンパ浮腫とは、リンパを運搬する機能がなんらかの原因(手術など)で流れが滞り、手足や顔など腫脹した状態のことをいいます。
乳がん術後には術側の腕や脇腹などにリンパ浮腫がみとめられます。
リンパ浮腫に対して当センターでは保存的理学療法の施術を行なっています。
問診や計測などで浮腫の状態を評価して治療方針を決定していきます。
保存的理学療法を行っていく上ではリスクも伴いますので、当センターにて受診していただき、医師の診断のもと、治療可能かを相談させていただきます。
約1時間程度(浮腫の部位によって変動があります)の間に評価から治療、指導等を含めた内容を実施していきます。
患肢に溜まっている組織間液やリンパ液を、徒手による柔らかい手技により適切な方向へリンパ液を誘導していきます。
リンパ液が鬱滞しているため、変化し硬化した皮膚の状態を改善させる目的があります。
マッサージによって改善された良好な状態を保ち、リンパ液が再び溜まることを防ぎます。また、筋肉や関節の動きを用いて静脈やリンパ液の流れを促通する効果があります。
浮腫の状態によって下記の物品などを使用します。
(例)
など
乳がんは初期の段階から全身病とされ手術でがんを取り除くだけでは再発する危険性があります。手術後は患者さん自身のステージ(病気の段階)やがん細胞の性質(薬の効きやすいがんであるかどうかや、がん細胞自身の悪性度)を考慮し決定されます。
通常、抗がん剤、ホルモン剤、放射線治療を必要に応じ組み合わせながら治療を行います。
治療は世界標準とされるザンクトガレンのガイドライン、NCCNガイドラインや日本乳癌学会の乳癌診療ガイドラインに従って行います。もちろん患者さんのライフスタイルや希望に合わせて相談しながら治療方針は決定していきます。